矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2017.06.07

デジタルサイネージ市場に関する調査を実施(2017年)

スマートフォン連携、IoT活用等、コミュニケーションツールとしての需要が拡大。

デジタルサイネージ市場の概況

2016年度のデジタルサイネージ国内市場規模は、前年度比116.2%の1,487億7,500万円と推計した。デジタルサイネージが一般化したことや、イニシャルコスト(初期投資費用)、ランニングコスト(運用・管理維持費用)の低価格化などにより、導入が増加し、同市場は、2017年度に前年度比120.3%の1,789億2,000万円に達すると予測する。

デジタルサイネージ市場は、訪日外国人向け対応や、東京オリンピック・パラリンピック(2020東京大会)、地方創生などが追い風となり、2020年度には3,361億7,000万円に達すると予測する。

もっとも、2020東京大会が終わると、広告の掲出が縮小することや、都内における設置が弱まることが見込まれ、2021年度の同市場規模は前年度比4.8%減の3,199億500万円を予測する。しかし、観光用途など、地方でのデジタルサイネージ設置は今後も増え続けることが見込まれ、2022年度以降、市場はプラスに転じると予測する。

※この背景には日本政府が掲げる「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」(2016年6月)に基づく財政支援としての地方創生推進交付金がある。これを利用し、地方創生の一環としてローカルブランディング目的で同交付金を得、観光名所などにデジタルサイネージを設置する事例が増えている。

【図表:デジタルサイネージ国内市場規模推移と予測】

【図表:デジタルサイネージ国内市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所作成
  • 注:CAGRは2015年度からの年平均成長率
  • 注:システム販売/構築にはハードウェアを含む
  • 注:2017年度以降は予測値

デジタルサイネージ各市場の動向

広告(広告枠)
2016年度のデジタルサイネージの広告(広告枠)の市場規模は、前年度比121.9%の600億8,100万円と推計した。近年は、稼働率100%のデジタルサイネージも増加基調にあり、場所によってはキャンセル待ちが発生するなどデジタルサイネージへの広告掲出が活発化している。
最近は、ユーザー企業(広告主)において広告と販売促進の両方を兼ね備えたプロモーションが増加基調にあり、広告費、販売促進費の両方から予算を獲得できるといった状況が発生していることもデジタルサイネージの広告の成長につながっている。加えて、今後は広告枠を時間指定で購入できるような新たな出稿システムの検討もされており、同じロケーションやスペースにより多くの企業が広告を掲出できるようになるため、市場は順調に拡大すると予測する。

コンテンツ制作
2016年度のデジタルサイネージのコンテンツ制作の市場規模は、前年度比110.0%の260億6,000万円と推計した。システム構築事業者などがコンテンツ制作ツールを安価に提供し、ユーザー企業自身がコンテンツを制作する機会が増える一方、ブランド力を高めるため、高品質のコンテンツを望むユーザー企業も拡大傾向にあり、市場の成長を後押ししている。一方、コンテンツの制作費は低下傾向にある。今後、4K・8K(高精細な映像技術)に対応したコンテンツの制作により、価格の低下に歯止めがかかることが期待され、2017年度は前年度比115.0%の299億7,000万円になると予測する。

システム販売/構築
2016年度のデジタルサイネージのシステム販売/構築の市場は、手軽に、且つ安価にデジタルサイネージを導入したい層と、スマートフォンなどとの連携やマーケティングデータとして活用する目的でデータを取得するといった高付加価値なデジタルサイネージを導入したい層に二極化している。
これまで、高付加価値なデジタルサイネージは大型を中心に求められてきたが、スマートフォン連携やIoTの活用による効果の可視化が可能になり始めたことで、デジタルサイネージは最早一方的に情報を伝えるツールではなく、コミュニケーションツールとして捉えられるようになった。そのため、最近は小型のデジタルサイネージにも付加価値の高いものを求めるユーザーが増加傾向にあり、活況を呈している。現状では、手軽に、且つ安価にと考える割合の方が大きく、市場は緩やかに成長するものとみる。そのため、2020東京大会後の反動も少ないと考える。
同市場の課題のひとつは、システムに互換性がないことで、ユーザー企業にとってはメーカーに左右されずに配信を行うことができるシステムや、仕様の共通化の早期実現が望まれている。
また、同市場では、一気にコンテンツを更新できるなど、運用効率の向上の観点からスタンドアロン型の電子POPをネットワーク型に置き換える企業も拡大基調にある。


調査要綱

調査期間:2017年2月~5月
調査対象:デジタルサイネージシステム関連事業者、広告会社、ハウスエージェンシー、媒体社等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用

※デジタルサイネージとは:屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステムを総称してデジタルサイネージと呼ぶが、本調査におけるデジタルサイネージ市場とは、小型のスタンドアロン型(USBなどを差し込んで決まった動画や静止画を流す)は除き、ネットワーク型のみを対象とする(但し、大型はスタンドアロン型も含む)。なお、ここでいう大型はスマートフォン、タブレット端末サイズ以上を指す。

小山 博子(コヤマ ヒロコ) 上級研究員
直接お話を聴かせて頂ける機会を大切にしています。冷静かつ緻密な分析を行い、有意義な情報のご提供をさせて頂きますとともに、「やって良かった」と思って頂ける調査のご提案を致します。

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