矢野経済研究所 ICT・金融ユニット

レポートサマリー
2017.06.02

第三者保守/EOSL保守サービス市場に関する調査を実施(2017年)

メーカー保守期間終了後のITシステム機器を対象としたEOSL保守サービスの利用が増加。

第三者保守サービス市場概況・予測

【図表:第三者保守サービス市場規模推移と予測】

【図表:第三者保守サービス市場規模推移と予測】
  • 矢野経済研究所推計
  • 注:事業者売上高ベース
  • 注:2017年度以降は予測値
  • 注:ITシステムのハードウェア(サーバ、ストレージ、ルータ・スイッチ等のネットワーク関連機器、PC等)を対象として、製品メーカーではない第三者企業による、オンサイト又はセンドバックでの修理・メンテナンス、代替部品の提供等の企業向けハードウェア保守サービス売上高を合算し算出した。

  • ITシステムのハードウェア(サーバ、ストレージ、ネットワーク関連機器、PC等)を対象として、製品メーカーではない第三者企業が提供する企業向けの保守サービスである第三者保守サービス市場(事業者売上高ベース)は、2016年度が前年度比113.2%の86億円となった。
  • 第三者保守サービス市場が成長しているのは、煩雑なハードウェア保守対応を一本化して外部に任せたいというニーズが高まっており、その際に柔軟な対応が可能な第三者保守サービスを利用したいと考えるユーザー企業が増えているためである。
  • 米国ではITシステムのハードウェア保守業務をメーカー以外の第三者企業に委託するケースも多いが、日本国内では保守業務はハードウェアメーカーに委託するケースがほとんどである。しかしながら、最近では、コスト削減等を目的として、第三者保守サービスを利用するユーザー企業が国内でも増加しつつある。
  • また、IT技術の幅が広がる中で、IT技術者の不足が進んでいるため、総合的にサービスを展開しているITサービス事業者等がITコンサルティング、システム開発、運用、保守などの各工程において専門特化を進めており、保守分野において第三者保守サービス事業者をビジネスの協業先として保守業務を委託するケースも出始めている。そのような専門特化の流れを背景にしたITサービス事業者の動向も、第三者保守サービス市場の成長を後押ししていくと推測する。
  • 一方、成長へのマイナス要因には「クラウド化」がある。オンプレミスからクラウドへの移行が進めば、ユーザー企業にとってシステムケアの必要がなくなるためである。そのため、第三者保守サービスへの需要が減退する可能性がある。しかしながら、オンプレミスのITシステムはまだまだ多いため、第三者保守サービスが普及する余地は、今後も十分に残されていると考える。
  • 国内の第三者保守サービス市場(同ベース)は2014年度から2020年度までの年平均成長率(CAGR)は8.7%で推移し、2020年度の同市場規模は、112億6千万円に達すると予測する。

注目すべき動向~EOSL保守サービスの成長

  • 第三者保守サービスのうち、メーカー保守期間終了(End Of Service Life)後にメーカーではない第三者企業が提供するEOSL保守サービスも、次のようなニーズを背景に成長していると考える。EOSL保守サービスが伸びている理由としては、まずコスト削減効果が期待されているためである。ITシステムをリプレースすると多額のコストが掛かるが、まだ安定稼働しているITシステムをメーカーの保守期間切れになったというだけの理由で入れ替えねばならない。EOSL保守サービスであれば、それを避けることが可能となるため、EOSL保守サービスを利用する大手ユーザー企業が増えている。特に東日本大震災以降、無駄なお金を使わないという風潮が高まっており、その傾向が強まっている。
  • また、リプレースをしたいタイミングとメーカーの保守期間切れのタイミングが合わないため、次のリプレース時期まで延長したいというニーズがあり、それもEOSL保守サービスの利用を増やしている。現在、2020年の東京オリンピック・パラリンピック前、2018~2019年のシステム更改予定に向けて、リプレース時期を延期しているユーザー企業も多く、それがEOSL保守サービスの利用を増やしている。
  • その他にも、環境問題を背景にしたEOSL保守サービスの利用も増えている。環境問題が話題になったため、ユーザー企業は以前ほど新品にこだわらなくなってきており、「まだ使えるハードウェアを捨てるのはもったいない」という風潮が広がりつつある。

関連リンク

■アナリストオピニオン
IT保守サービス事業者が注視したい市場とは


調査要綱

調査期間:2016年11月~2017年5月
調査対象:第三者保守サービス提供事業者
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・Eメールによる取材、ならびに文献調査を併用

※第三者保守サービス、EOSL保守サービスとは:本調査における第三者保守サービスとは、ITシステムのハードウェア(サーバ、ストレージ、ルータ・スイッチ等のネットワーク関連機器、PC等)を対象として、製品メーカーではない第三者企業が提供する企業向けのハードウェア保守サービスを指す。そのうち、対象製品のメーカー保守期間終了(End Of Service Life)後に製品メーカーではない第三者企業が提供するITシステムのハードウェア保守サービスをEOSL保守サービスとする。

※第三者保守/EOSL保守サービス市場とは:本調査における第三者保守/EOSL保守サービス市場は、製品メーカーではない第三者企業による、オンサイト又はセンドバックでの修理・メンテナンス、代替部品の提供等の企業向けハードウェア保守サービス売上高を合算し算出した。

石塚 俊(イシヅカ タカシ) 主席研究員
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