2015年末現在、世界における携帯電話サービスの契約数は79億4,278万7,000契約で、世界人口に対する携帯電話普及率は111.5%に達した。これまで、市場を牽引してきたロシア、ブラジルが低迷している一方で、現在、ASEAN、南アジアエリアでの増加が著しく、北米、中南米も堅調である。
2016年の世界の携帯電話サービス契約数は82億819万5,000契約(世界人口に対する携帯電話普及率112.2%)が見込まれる。市場別ではアジア(特にASEAN・南アジア)、北米市場が新規契約獲得を牽引するものの、中国、インドといった巨大市場に於ける新規契約の伸びが鈍化傾向にある。その中で、世界各国で第四世代携帯電話(以下4G)の商用サービスが開始され、スマートフォンについても多くのサービス事業者がローエンド(200ドル以下)価格帯の製品を対応し始めていることも手伝い、各国で4G対応が急速に進んでいる。また、中国や韓国などでは、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)への4G回線卸しの拡大によって、市場が活性化し始めている。
2022年の世界の携帯電話サービス契約数は91億4,838万契約(同115.6%)になると予測する。先進国をはじめ第五世代携帯電話(以下5G)の導入が進み、IoT(Internet of Things)が様々なカテゴリの機器やサービスに導入される見通しである。
【図表:世界市場における携帯電話サービス契約数と携帯電話普及率の推移】
2015年の世界市場における携帯電話サービス(総契約数79億4,278万7,000契約)の通信システム別内訳は、第二世代携帯電話サービス(以下2G)が40億4,894万7,000契約で最も多く、次いで第三世代(以下3G):28億契約、4G:10億9,384万契約となっている。
2016年の世界市場における通信システム別サービス契約数は、2G:32億1,211万5,000契約、3G:31億8,000万契約、4G:18億1,608万契約が見込まれる。世界市場では依然として2Gの契約数が最も多いものの、3G・4Gの普及に伴い、2Gは減少傾向にある。4Gは2014年に商用サービスが開始された中国での普及が進み、2015年末には4億近い契約数となり、他国の市場に於いてもスマートフォンの4G対応と歩調を合わせる形で増加していく見通しである。
一方で、3Gは2019年の38億契約をピーク(2014年から2022年までの)に減少に転じる見通しで、2020年中には3Gと4Gの契約数がほぼ肩を並べる水準になると予測する。
2022年の世界市場に於ける通信システム別サービス契約数は、2G:5億8,238万契約、3G:37億契約、4G:47億6,600万契約、5G:1億契約と予測する。
世界市場における4Gサービスは先進国及び新興国の通信事業者により商用サービスが提供されている。4Gはスマートフォンの普及によってSNSや動画・音楽の配信サービス利用によるトラフィック増加に対応すべく、ネットワーク負荷の低減と効率化に優れた通信システムとして世界各国で採用が進んでいる。4Gはより高速性を高めたLTE Advanced、LTE Advanced Proといったシステムも開発されており、5Gへの橋渡しとして2010年代後半から2020年代初頭のコアシステムとして普及が進むと考える。
【図表:世界市場における通信システム(世代別)通信サービス契約数推移】
世界の携帯電話端末市場は、引き続きスマートフォンが市場を牽引する形で拡大を続けてきた。とくに、急速な経済発展を遂げてきた中国、インド、ASEANを含むアジア・オセアニア市場では携帯電話サービスの契約数が増加するのと併せて、携帯電話端末市場も拡大を続けてきた。中国では低価格スマートフォンにより、中国国産メーカーの育成が図られてきたが、中国での需要一巡と供給過多により2015年のスマートフォン出荷台数の伸びは縮小している。また、インド市場については、国内の通信インフラ整備が遅れている事や、スマートフォンの市場価格が一般消費者にとって高額なことなどから、スマートフォン出荷台数は徐々に増加している。
2015年の世界のハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォンの合計)の出荷台数(メーカー出荷ベース)は18億7,974万7,000台と推計した。内訳をみると、フィーチャーフォンの出荷台数が4億7,230万5,000台、スマートフォンの出荷台数が14億744万2,000台であった。
2016年の世界のハンドセット出荷台数(同ベース)は19億6,076万台を見込む。内訳はフィーチャーフォンの出荷台数が4億4,664万台、スマートフォンの出荷台数が15億1,412万台で、スマートフォンは先進国では需要一巡により需要は鈍化傾向にあるものの、インド市場でスマートフォン需要が本格化したことに加え、ASEAN・南アジア地域での需要が堅調な見通しである。実売200ドル以下の「ローエンド機」の需要が拡大する一方で、実売400ドル以上の「ハイエンド機」、実売600ドル以上の「プレミアム機」についても今後、VR(ヴァーチャルリアリティ)対応をきっかけとして、スマートフォンメーカーの間で更なる開発競争が進むことが期待されている。
2022年の同出荷台数(同ベース)は24億191万台と予測し、5G対応製品が急速に増加する見通しである。
【図表:世界のハンドセット(フィーチャーフォン+スマートフォン)市場規模予測】
■レポートサマリ
●携帯電話の世界市場に関する調査結果 2015
●携帯電話の世界市場に関する調査結果 2013
●スマートフォン・タブレットの世界市場に関する調査結果 2014
●携帯電話の国内市場に関する調査結果 2014
調査期間:2016年6月~9月
調査対象:携帯電話・スマートフォンメーカー、国内半導体メーカー、通信事業者、関連業界団体等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
※第四世代携帯電話サービス(4G)とは:本調査における第四世代携帯電話サービス(4G)は、ITU(国際電気通信連合)にて規定されているLTE-Advanced、LTE-Advanced ProとWireless MAN-Advanced(WiMAX2)及び3.9世代に属するLTE(Long Term Evolution)、TD-LTE(TDD)を含めたものを対象とする(WiMAX、HSPA+を除く)。
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