2013年度におけるハンディターミナルの国内メーカー出荷台数は32万6,550台(前年度比96.4%)、メーカー出荷金額は270億5,700万円(同97.7%)であった。
2012年度に続き、大口ユーザーのリプレース(機器代替)期間の長期化などの影響で、台数、金額ともに前年度を下回る傾向が続いている。
タイプ別に見ると、2013年度の台数ベースの内訳は、スキャナ一体型が26万9,645台(前年度比98.6%)、標準型が4万5,500台(同98.0%)、ノートパッド型が1万1,405台(同60.4%)であった。ノートパッド型のハンディターミナル台数が大きく前年度を下回ったのは、2011年度から2012年度に渡る大口ユーザー企業のリプレース案件終了の影響と、参入企業のノートパッド型新製品投入が無かったことが影響していると考える。
■スマートデバイスの影響は一部にとどまる
近年、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスが高性能・高機能化したことにより、ハンディターミナルで行ってきた業務の一部がスマートフォンやタブレット端末に置き換わる動きが懸念されていたが、小売業の一部など特定分野のみの影響にとどまっており、現時点ではただちに市場全体への大きな脅威にならないとみる。
その要因としては、1.機能(特にスキャナ機能)的に独自性を持つことや、2.堅牢性(防水性、防塵性、耐落下強度など)、3.他業務とのシステム親和性(基幹システムや業務フローと密接に関連している)など、ハンディターミナルが元来有する3つの特性が挙げられる。そのため、今後もハンディターミナルの需要は底堅く、安定した傾向が続くと予測する。
2014年度は一転して、国内メーカー出荷台数は35万6,100台(前年度比109.0%)、メーカー出荷金額は292億2,300万円(同108.0%)とともに増加すると予測する。
ハンディターミナル市場は、今後も大口ユーザー企業のリプレース案件等により、出荷台数規模の増減は発生するが、需要のほとんどがリプレースで占められており、基本的な出荷台数規模にはそれほど影響はないものと考える。金額ベースでは、上記台数を前提として、メーカー出荷金額ベースで290億円前後で推移していくものと予測する。また、ハイスペックな上位機種が市場に投入されるなど一時的な要因で市場規模を押し上げる可能性もあるが、中期的な期間で見れば微増で落ち着くと考える。
但し、今後ハンディターミナル市場が拡大・成長へと転じるには、1.新たなユーザー業界の開発及び、2.新機能の追加(スマートデバイス機能等の取り込み)が、課題として挙げられる。
…ほか
■レポートサマリ
●ハンディターミナル市場に関する調査結果 2012
■アナリストオピニオン
●これが専用端末の生きる道 ~問われているその存在意義
調査対象:ハンディターミナルメーカー、その他関連企業等
調査期間:2014年7月~9月
調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
※ハンディターミナルとは:本調査におけるハンディターミナルとは、1.業務用のデータ入力端末で、2.アプリケーションプログラムが別のツールで開発され、ロードすることで動作し、3.バッテリ駆動であり、4.手に持って操作する、以上の4点を満たすものをいう。ノートPCやスマートフォン、タブレット端末は含まれない。
YanoICT(矢野経済研究所ICT・金融ユニット)は、お客様のご要望に合わせたオリジナル調査を無料でプランニングいたします。相談をご希望の方、ご興味をお持ちの方は、こちらからお問い合わせください。
YanoICTサイト全般に関するお問い合わせ、ご質問やご不明点がございましたら、こちらからお問い合わせください。